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山城のエロス

摩訶不思議な世界へと誘う書物をご紹介。戻って来られなくなってもあしからず。

未来の記憶〜古代文明は宇宙人が作ったんだよ!〜

エッセイ 宇宙 遺跡 SF 神話

 

未来の記憶

未来の記憶

 

 「神」は宇宙からやってきた……

はるか遠い昔、人類がまだ石器を磨いたり、投げやりで獣を狩って日々の糧を得ていた時代。地球上ではただひたすらに、文明とは無縁の原始生活が繰り返されるのみであった。

そう、彼らが地上へ降り立つまでは……。

 ある日、突然、空からやってきた謎の飛行物体。地上に着陸した「それ」の中からは、ヘルメットと防護服に身を包んだ生命体が姿を現した。地球の原始人たちは、彼らと出合った時、こう思ったに違いない。

「神、天より降りたまいき!」

エジプト、マヤ、メソポタミア、インカ……世界中の古代文明はすべて、宇宙人が作り上げたものだった!

今やSF小説やマンガでさんざんやり尽されてしまったネタも、この本が出版された当時(1968年)は斬新な発想として世間に迎えられた。

エーリッヒ・フォン・デニケンの「未来の記憶」は、後の創作物に多大な影響を与えた古代宇宙飛行士説の嚆矢となる著作である。

「開けゴマ!」は自動ドアだった

世界中に散らばる古代遺跡。その中には、当時では考えられないほど進んだ科学力を持った文明があったことはつとに知られている。しかし、そんなものはデニケン先生にしてみればたいした謎ではない。

いわく、
ノアの方舟は宇宙船!
ナスカの地上絵は宇宙船の滑走路!
ミイラは宇宙人が地球人に教えた蘇生技術の名残!
とまあ、すべてがこんな調子。

特に面白いのは、古代メソポタミアギルガメシュ叙事詩を分析するくだり。

主人公の一人、エンキドゥが空を飛ぶ太陽神に捕らえられたとき、彼は鉛のような重みを感じたという。そこで先生は、すかさずツッコミを入れる。なぜ、車も飛行機もない時代の人間が、加速状態でGが発生することを知っていたのか?

また、別の場面で扉が人間のように話す記述があるのを見つけると「これはスピーカーだなとすぐに分かる」と即座に見破る。読んでいて大変ほほえましい。

章が進むに連れ、話もどんどんヒートアップする。アラビアンナイトの「ランプの魔人」の正体はテレビ映像、「開けゴマ!」は自動ドアと、ついにはおとぎ話の類まで自説に取り入れ始める。

きっとデニケン先生が浦島太郎の物語を知ったら、きっと大喜びして浦島宇宙飛行士説を唱え始めたことであろう。