あやしい書評ブログ

摩訶不思議な世界へと誘う書物をご紹介。戻って来られなくなってもあしからず。

宇宙からの帰還〜大気圏外でおしっこをするとどうなるか〜

 

宇宙からの帰還 (中公文庫)

宇宙からの帰還 (中公文庫)

 

宇宙ホタルってやつを、一度は見てみたいもんだ。 

俺が生きている間に、庶民が宇宙旅行できるかどうかは知る由もない。だが、もし行ける機会があるのならば、ぜひとも「宇宙ホタル」を見てみたいものだ。

漆黒の宇宙空間の中で、まるで宝石をちりばめたように輝く光の粒。

第一発見者であるジョン・グレンを始め、多くの宇宙飛行士がその美しさに心を奪われたという。

アストロノーツは宇宙で何を見たのか?

宇宙に行くと、人格が変わる?

立花隆「宇宙からの帰還」は、そんな疑問をアメリカの宇宙飛行士達に直接ぶつけた名著である。

地球上とはまったく異なる宇宙空間は、人間の精神にどんな影響を及ぼすのか。

宇宙へ行く前と、戻ってきてからの人生観の違いを、時に著者の考察を交えながら丹念にインタビューしている。

宇宙から帰還を果たしたアストロノーツの「その後」は実にさまざま。

宗教に目覚める者あり、ビジネスで成功を収める者あり、中にはそれまでのエリートコースを外れ、転落の人生を送る者もいた。

「宇宙空間から地球を眺めたとき、そこに神を感じた」

そう話す者がいれば、「宇宙へ行っても何も変わらなかった」と言い切る者もいる。

「宇宙から地球を見ると、国同士が戦争しているのが馬鹿らしく思える」という宇宙飛行士のコメントも面白い。キレイごとのように聞こえるが、たぶん本人は本気でそう思ったんだろう。

アポロ14号で超能力実験をやってのけた男。

この本で俺が一番興味をそそられたのは、宇宙と超能力の関係についての話だ。

エドガー・ミッチェルはアポロ14号に搭乗した際、超能力の実験を行った。

まずESPカードという、いろいろなマークが書かれたカードを1枚選ぶ。で、次に選んだマークをテレパシーで宇宙船から地上に送信する。地球にいる協力者がテレパシーを受け取り、マークを記録しておいて、帰還後に答え合わせをするという実験だ。

なんだか良く分からないプロジェクトだが、結果はどうだったか。なんと!地上で試したときよりも、当たる確率がアップしていたというのだ。

どうやら宇宙空間は、人間が本来隠し持っているポテンシャルすら覚醒させてしまうらしい。

宇宙旅行が当たり前になった時、人類はテクノロジーだけでなく、精神面においても次なるステージへと進むことになるだろう。

 ちなみに……

冒頭の宇宙ホタル、正体はなんと宇宙飛行士達の「おしっこ」。尿を宇宙空間に放つと、一瞬で凍りついて光り輝く粒状の物体に変化するのである。

つまり、宇宙飛行士達は自分のおしっこに、宇宙の神秘を見ていたことになる。なんてステキなんだろう。